なぜシャンプーするの?洗髪の意味を美容師が解説
シャンプーの主な目的は、髪や頭皮の汚れを落とすことです。この「シャンプー」という言葉は、ヒンディー語(インドの主要言語)で「押す」を意味し、毎日の洗髪は清潔な頭髪と頭皮を維持するためにとても大切です。
洗髪によって取り除かれる「汚れ」には、以下のようなものがあります。
● ワックス、ヘアクリームなどの毛髪用化粧品の残留物
● 空気中のちりやほこりなどの環境由来の汚れ
これらの汚れを定期的に洗い流すことで、頭髪と頭皮は清潔に保たれ、健康な毛髪の成長を促進します。そのため、美容師としては、毎日のシャンプーを推奨していますが、正しい洗髪方法を理解し、実践している人は意外にも少ないのが現状です。
こうした背景から、正しいシャンプー方法を学び、実践することが、美しく健康な髪を育てるために不可欠です。次に、その方法について詳しく解説します。
美容師が髪や頭皮をきれいに洗う方法を伝授【シャンプー練習あるのみ!!】
高品質なシャンプーを使っても、誤った方法で使用すれば効果が激減します。
シャンプー方法を間違えると、頭皮が臭くなることもあるよ…。
年間3000回以上のシャンプーを行う現役美容師が、正しいシャンプー方法をお伝えします。
まず簡単に、シャンプーの流れを説明すると以下の通り。
② しっかり予洗い(所要時間3分)
③ シャンプーを泡立てる(所要時間1分)
④ 指の腹でやさしく洗う(所要時間3分)
⑤ 時間をかけてすすぐ(所要時間5分)
⑥ トリートメントで仕上げる(所要時間3分)
⑦ タオルドライ&ドライヤー(所要時間10分)
頭皮をマッサージするようにブラシでブラッシング
シャンプー前にブラッシングするメリットは以下の通り。
✓ シャンプーの泡立ちがよくする
✓ 頭皮全体の血行を促進し、抜け毛を防ぐ
絡まる髪はストレスを感じますが、入浴前にブラッシングすることでそういったストレスを防ぎ、シャンプーが持つ修復効果などを高めることができます。
メンズもブラッシングをやった方が良いよ。
頭皮から毛先までしっかり予洗い
お湯でしっかり頭皮から毛先まで、十分にすすぎましょう。
これをシャンプー前の“予洗い”といいますが、この段階で指を頭皮にあてマッサージするように洗うと、8割の汚れを落とすことができます。
落としきれなかった汚れは、後でシャンプーを使って落とします。こういったひと手間を加えることで、シャンプーの成分が髪や頭皮に浸透しやすい状態にします。
約3分間の予洗いは汚れを落とすだけでなく、心身のリラックス効果もあるんだよね。
手にシャンプーを取りしっかり泡立てる
シャンプーを泡立てずに直接髪や頭皮につけると、頭皮に負担がかかり、かぶれてしまうことも。
直接頭皮にシャンプーつけてた…。シャンプーを泡立てずに使うと、すすぎ残しを起こしやすくしてしまうのよね。
適量のシャンプーを手のひらにのせ、手のひらで十分に泡立ててからシャンプーしましょう。もし泡立ちがいまいちな場合は少しお湯を足すと泡立ちがよくなりますので、その都度調整するといいですよ。
手のひらで泡立てするのが苦手な人は、以下の泡立てネットを使用することで、短時間でモコモコの泡を作り出すことができるのでおすすめ。
私がそういった際におすすめしているのが、以下の泡立てネット。特殊な二重構造になっていて、モコモコの泡が簡単に作れるのでめちゃ重宝します。もちろんシャンプーだけでなく、洗顔フォームでももっちり泡を作れるので、美顔を目指す方にもぴったり。
指の腹を使ってやさしく洗う(シャンプーの仕方は下向きでもOK)
予洗いでは指の腹で髪をマッサージするように洗っていましたが、シャンプーするときも同様です。
“手のひらの10本の指を使って、頭皮を持ち上げるように全体を動かす”ことで、きれいに汚れを落とすことができます。
強く力を入れてマッサージすると逆効果になるので、自分が気持ちいいと思う程度の力で行いましょう。
抜け毛を防ぐポイントは、指を髪にあてるのではなく、肌にあてるようにしてからマッサージをすること。
「指を使ってマッサージすると、腕がつかれてしんどい…」そんな方は、シャンプーブラシを使うとOK。
力を入れずとも、ほどよい刺激が頭皮に伝わるように設計されているので、まるで美容室でヘッドスパを受けているような至福のシャンプータイムを過ごすことができるでしょう。
シャンプーブラシにも様々な種類が販売されていて、手動のものもあれば、自動のものもあり、どれを買えばいいか分からないと悩んでしまいます。
シャンプーブラシに関しての記事を準備したので、気になる方は以下の記事をご覧ください。
(→ シャンプーブラシおすすめ12選を美容師が厳選【はげる使わない方がいいは嘘】)
十分に時間をかけて洗い流す
頭皮や髪にトラブルがある人の大半は、このすすぎが不十分であることが多いです。シャンプー剤が頭皮に残っていると肌トラブルの元になります。
『シャンプーが残っているとヌルヌルしてるよね。それが無くなるまで洗い流せばそれで十分じゃないの?』
『むしろ流し過ぎると有効成分が流れてしまうんじゃないの?』
と考える人もいますが、5分ほどかけてしっかりと洗い流すことをおすすめします。
そんなに時間をかけるのね!!
そうしないと頭皮を清潔に保つことができません。
ブラッシングで髪や頭皮の汚れを浮き上がらせ、「本番前の下準備」から「しっかりと十分にすすぐ」までが正しいシャンプーの方法です。
頭頂部や耳の後ろは、すすぎ残しが起こりやすいので注意しよう。
コンディショナーやトリートメントを中間から毛先につける
シャンプー後に髪の水気を軽く取ったら、トリートメントやコンディショナーを毛先から髪全体に均等になじませていきます。これを手ぐしを使って行うと、髪の流れを整えながらトリートメント成分が髪全体に広がりやすくなります。
特に内部に成分が浸透するタイプのトリートメントの場合は、塗布後に一定時間放置することでその効果が向上することがあります。製品の使用は基本的にはメーカーの指示に従って行いましょう。
タオルドライする際はやさしくソフトに
タオルを使った髪の水気の取り方について、以下の手順で行います。
耳下部分からタオルで包む
耳の下から始めて、タオルで髪をやさしく包み込みます。その後、優しくポンポンとタオルの上から叩くことで、水滴を効果的にふき取ります。
頭皮の水分を拭き取る
タオルを頭にかぶせた状態で、指の腹を使って頭皮の水分を優しく拭き取ります。頭皮の水分をしっかり取ることで、根元から早く乾かすことができます。
濡れた髪の整髪
濡れた髪を整える際は、目の粗いブラシやクシを使用します。細かい歯のクシは避け、髪を優しくとかすことで、髪へのダメージを防ぎます。
毛先の優しい扱い
毛先は傷みやすいため、濡れている間は髪同士がこすれ合わないよう注意が必要です。髪が柔らかい状態での無理な扱いは避け、毛先を特に優しく扱います。
根元の水分をしっかりと
根元の水分をしっかり拭き取ることで、髪を効率よく乾かすことが可能になります。これにより、毛先への負担を減らしながら全体的に速く乾かせます。
これらのステップに従うことで、髪の健康を守りながら、効率的に乾燥させることができます。
タオルドライした後は、早めにしっかりとドライヤーで乾かしましょう。濡れたまま放置することで、頭皮に雑菌がわいて臭いが生じます。それに濡れた髪はデリケートで傷みやすいですからね。
シャンプー方法についてよくある質問
正しいシャンプー方法について、ちょっとした疑問を持っている方も多いのではないでしょうか?
「シャンプー方法についてよくある質問」では、泡立てのコツからすすぎのポイントまで、美容師が解答します。
シャンプーの理想的な時間は?
- シャンプーを行う際、何分間洗うのが理想的ですか?
- 髪の長さにかかわらず一般的な時間の目安は「予洗い3分、シャンプー3分、すすぎ5分」です。予洗いとすすぎの段階では、シャンプーをするのと同じ程度以上の時間をかけることが重要です。
シャンプーは泡立てて洗うべき?
- シャンプーをする際、泡立てたほうがいいのでしょうか?
- シャンプーの泡には界面活性剤が含まれていて、頭皮や髪から皮脂や汚れを効率的に包み込む性質があります。そのため、洗髪時にしっかりと泡立てることで、汚れをより簡単に落とすことができます。一方で、泡立てずにシャンプーすると、汚れが十分に落ちない可能性があります。
縦洗いは正しい方法か?
- シャンプーを縦に洗うことが正しい洗髪方法ですか?
- 洗髪時には、生え際から頭頂部に向かって、下から上へと縦に洗い上げる方法が効果的です。この方法は、髪の重みで下に垂れる毛穴を逆方向に動かすことで、汚れが落ちやすくなるためです。具体的には、後頭部、側頭部、前頭部の生え際から始めて、頭頂部に向かって頭皮全体を洗います。
美容師がシャンプーのやり方を説明して【まとめ:日々のヘアケアにひと手間を】
シャンプーの主な目的は髪の汚れを洗い流すことよりも、むしろ頭皮の清潔を保つことにあります。髪に付着する汚れとしては、ほこりや花粉、化学物質などがあり、これらは水だけである程度洗い流すことが可能です。
しかし、頭皮の汚れは皮脂が主な原因で、これを効果的に取り除くためにはシャンプーが必要です。
頭皮を十分に洗浄しないと、頭皮の常在菌が増えて炎症を引き起こすことがあります。これはかゆみや赤み、フケの原因となり、さらには毛穴の炎症が髪の成長に悪影響を及ぼすこともあります。
したがって、シャンプーの目的と正しい使用法を理解し、適切な洗髪を行うことが頭皮トラブルを防ぎ、健康的な頭皮環境を維持する上で重要です。
高級アルコール系、石鹸系、アミノ酸系など様々な種類のシャンプーがありますが、正しいシャンプーの方法はどのシャンプーにも当てはまります。
すすぎの際は、きちんとシャンプー剤を洗い流さないと、頭皮トラブルや悪臭の原因になることが多いので注意しましょう。